【新型コロナ】雇用調整助成金に関するよくある疑問について

新型コロナにおける雇用調整助成金のよくある疑問この記事は2020年4月10日に執筆しています。

新型コロナウイルス感染者拡大の影響により、企業の皆さまから「雇用調整助成金」について、お問い合わせをいただくことが増えております。

そこで、今回は皆さまがよく疑問に思われている点や、認識を誤りやすいポイントをお知らせいたします。

Q.従業員に賃金の90%が出るのですよね?

いいえ、従業員ではなく会社へ出るものとなります。

また、全ての企業へ賃金の9割が助成金として出るわけではありません。

これには注意点がいくつかあります。

  • 90%の助成は中小企業が対象
  • 上限金額が決まっている(日額8,330円)
  • 前年に支払った賃金を元に、今回「休業補償」で従業員へ支払った補償率と助成率を掛けた金額が支給される

そして、この休業補償は、労基法で平均賃金の60%以上の支払いが決まっています。

(会社によっては、就業規則等でそれ以上の支払いを定めていることがあります。今回90%まで助成されるため、100%の休業補償をする会社も出ています。)

使用者(事業主)の事情でお店を閉めてお休みしてもらう場合などは、3ヶ月の平均賃金の60%以上を休業補償で支払う必要があります。

例えば月20万円の賃金の方の場合、20万円の60%を休業補償で支払いますので、12万円を従業員の方へ支払うことになります。

国から助成されるのは、この12万円の内の90%で、10.8万円です。

とはなりません。

ややこしいのが、前年に支払われた賃金が影響することです。

助成金の額=「前年の支払い賃金を元に計算された平均賃金額(日額)」×「今回の休業補償率」×「助成率」

*簡潔に書いているため、正確には更に細かい算出となります。

こちらで計算された日額を基準として、上限8,330円までは支給されることになるのです。

非常にややこしく、正確な金額を調べるだけで大変になります。前年の支払い賃金が、今年と比べて多いか少ないかである程度イメージをしてください。

おおよその金額のイメージを持てたら、多少変動があり得ることに留意して、助成金の活用を判断した方がよいでしょう。

以下、緊急対応期間における助成率の変更について、引用となります。

⑴緊急対応期間(令和2年4月1日~同年6月30日)の休業等の上乗せ特例
○休業又は教育訓練を実施した場合の助成率を大幅に引き上げます。
上記期間内において、休業又は教育訓練を実施した場合の助成率を、中小企業については2/3から4/5へ、大企業については1/2から2/3へ引き上げます。
さらに、事業主が解雇等を行わず、雇用を維持した場合、当該助成率を、中小企業については4/5から9/10へ、大企業については2/3から3/4へ引き上げます。

引用:新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置を追加実施するとともに、申請書類の大幅な簡素化を行います|厚生労働省

Q.売上が下がってるので助成金はもらえるのですよね?

条件があるため、必ずしももらえるとは限りません。

注意点を整理します。

  • 売上が1ヶ月の5%以上を下回ること(緊急対応期間である2020年の4/1-6/30が対象です
  • 雇用保険適用の事業主であること
  • 労使協定により今後の計画を出すこと(事後でも可能。現在2020年の6/30までとされています。)
  • コロナ影響で休業が必要となったこと
  • 休業補償を従業員に支払い、その内容が法令遵守していること

*2020年4月よりも前の期間は、通常の雇用調整助成金のルールとなります。具体的には、3ヶ月で10%以下になっているかを見られます。
*また、売上の現象は前月・前年同月比で確認されます。

これらを満たしている必要があります。

Q.お店を休業しないと助成金はもらえないのですか?

いいえ、必ずしもお店を休業していないと支給されない訳ではありません。

お店は閉めていなくても、通常よりもお客さんが減少し、従業員を減らす必要が生じた場合も対象になります。

本来であれば勤務する予定であった従業員が、休業を余儀なくされたということで、休業いただいた方が発生した日数が助成金の計算対象に入ります。

Q.雇用保険に入っていないアルバイトは対象になりますか?

対象になります。

通常の雇用調整助成金の制度は、雇用保険に入っている方を対象としています。

但し、今回の新型コロナについては、特別措置で雇用保険に加入していない労働者も対象とすることができます。

Q.助成金はすぐにもらえますか?

直ぐにはもらえません。

申請して、審査がありますので、平常時でも2~3ヶ月ほど掛かります。

【雇用調整助成金のお金の流れ】

1:事業主から従業員に対して、先に休業補償をお支払いいただきます。
2:雇用調整助成金の必要書類を揃え、申請を行います。(6/30まで)
3:審査の後、雇用調整助成金が事業主へ支給されます。
4:山形市内の事業主の方は、社労士等へ依頼した際に発生した費用の補助金が受けられます。
 *対象期間1か月ごとに2か月後の支給サイクルです。

尚、今回コロナの影響で、申請者が増えれば時間が掛かることも想定されます。

追記
4/10の閣議後の記者会見にて、厚労省加藤大臣が
「申請から支給までの期間は1カ月になるよう取り組みたい」と述べられました。
まだ約束されたものではないですが、今後に期待したいところです。
参考:雇用調整助成金、申請時の記載項目半減 厚労相発表|日本経済新聞

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